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新曲「僧正ヶ谷」について


2014年10月5日
関根太鼓店にて

2014年10月10日
自宅稽古部屋にて

 関根太鼓店 http://sekinetaiko.com/ で修理していただいた3張の宮太鼓(1尺1寸2張、
1尺3寸1張)を、この数日、自宅の稽古部屋で演奏曲の練習で使ってみて、このたびの関根
さんでの修理がまさしく正解だったことを実感している。関根太鼓店HPのトップページのタイト
ル「伊達な音色の『伊達な太鼓』関根太鼓店」の通りの太鼓に生まれ変わった感じがするとと
もに、関根さんが言う「うちの太鼓はよその店のものより3割増しで鳴る」のを実感している。

 思い返せば、昨年7月フェイスブックで関根直紀さんと友達になったことがきっかけで関根
太鼓店を知り、同店HPで紹介されている店主(直紀さんの父親)謹白文に、他の太鼓店には
ない独自の概念、信念のようなものを持って太鼓づくりをされている印象を受けた。そして、
主な納入先一覧に数多くの伝承芸能団体をはじめ、名だたる演奏団体・演奏者の名前が上
がっているのを見て、かなり優れた太鼓をつくるお店なのだろうと思ったのである。

 今回の宮太鼓3張の修理にあたっては、今年の春ごろからイメージとして浮かんでいた太鼓
セットの変更(従来の長胴2張+桶胴2張=4張から、長胴3張+桶胴2張=5張へ)の考えが
あり、長胴は従来の1尺3寸と同4寸の組み合わせから、1尺1寸2張と同3寸1張の組み合わ
せへ変えたのである。

 そして、それらの変更の背景には私の太鼓演奏における二つのビジョンがあり、一つ目は和
太鼓独奏、二つ目は本場ジャズ(アメリカ)と和太鼓の融合がある。具体的な行動として、来年
の秋ごろ、アメリカに2週間から1か月間くらい行き、本場ジャズバンド演奏に和太鼓で参加、
参戦する試みをやってみようと思っている。

 ところで、今月5日、関根太鼓店に修理を終えた3張の宮太鼓を受け取りにお伺いした際、
太鼓づくりや、その音などについて店主や直紀さんから話をお聞きできたことは貴重でとても
良い勉強になった。店主と初めてお会いし、最初に私の心に焼きついたのは「太鼓は生きも
の、胴も皮も生きもの・・・」という店主のことばだった。

 牛皮の桶胴太鼓について、関根太鼓店製造のものと、他店製造のものとの打ち比べ(胴縁
から5センチ内側)をさせていただき、相対的に関根太鼓店の皮は胴縁に近い部分でも残響
音があり、皮全体が弾力性に富んでいることを実感した。また、店主曰く、関根太鼓店の桶胴
太鼓はロープ(調べ紐)を強く締めないでも十分に良い音で鳴るということで、実際に皮を取り
外して打ってみせていただき、充分な残響で良い音で鳴ることがわかった。

 店内に展示してあった2尺宮太鼓(胴は栓)を店主が軽く打ってみせてくれ、太鼓は本来、軽
く打っても充分に遠くまで音が響いていく楽器だと言われた。そのような本来の楽器としての太
鼓には何よりも皮のなめし方、そして、胴内の彫整が関わっているとのことであった。

 そして、意外なことだったが、よく鳴る太鼓とそうでない太鼓の違いには、皮の温度も関係して
いると言われ(よく鳴る太鼓の方が温かい)、実際に店内に置いてあった関根太鼓店製造と他店
製造の、長胴は長胴、桶胴は桶胴で、同サイズの太鼓の皮に手のひらを当てて比べてみて、そ
れが事実(関根さんの太鼓が温かかった)であることがわかった。真冬の一関市は最低気温が
氷点下15℃位になるとのことで、その時期には皮の温度の違いがよりわかりやすくなるという。

 直紀さんには工場見学のご案内のほか、店内の様々な太鼓を見せていただいたり、試し打ち
をさせていただいたりした。鹿踊りの桶胴太鼓の音とデザインには魅かれるものがあったので、
いずれ予算の都合がついたら私の太鼓セットに組み入れたいと思った。

 このたびの関根太鼓店さんとのご縁を大事にして益々精進していきたいと思う。

                               2014.10.10 太三